知らない食べ物は、ひとまず食べてみよう!
OL時代、休みをほぼほぼ旅に充てていた。あまり休みを取る人が多くはなかったので浮いていた私は少しでも印象を良くしようと、旅に出るたびに部内の人にお菓子を配ることにしていた。個人的には義理土産の制度は無駄だと思っていたけれど、何もしないで次の休みを取るときに渋い顔をされるくらいなら、お菓子で印象をよくする方がましだと思ったのだ(それで印象がよくなったかはわからないけれど)。
ヨーロッパやアメリカなど定番でみんなが安心して旅行するような国の場合、スーパーで買った安くてちょっと珍しい感じのお菓子を配っても喜んでもらえた。色が(控えめに言って)鮮やかでも、ちょっと(かなり)甘めでも、外国の味だねと食べてくれた。でも定番の旅行先(?)以外で買ったお菓子を持っていくと、あからさまに拒否反応を示す人が多かった。
確かに見た目の色の鮮やかさは日本ではなじみのない感じだけど、はっきり言って味はおいしい。日本にはない感じだけど日本人が好きな味。食べてくれた人からは好評だったが、国のイメージだけで食わず嫌いの人がかなりの数いた。
そしてそのうち職場の人は旅先の「ならでは」のものよりも、代り映えのしない普通のチョコレートの方が喜んでいることに気付いた。ばらまき土産用の、中身はどの国でも全く同じで、パッケージだけその国の写真になっている、普通においしいチョコレート。
確かに仕事で疲れたときに食べると定番の味はおいしい。喜ばれるのはわかる。
でもそれだけではない気がする。
私は昔から旅先で「なんだ、これは?」というものを見ると試さずにはいられないタイプだ。見るからにまずそう、でも意外といけるかもしれない、そう思って食べたものは大半がおいしくない。あーあ、あっちのおいしそうな方にすればよかったと思うことがほとんどだ。でもまずいことがわかってよかったと思うし、ごくまれにすごくおいしいものに当たったときには、やった!とドヤ顔で自慢したくなる。
もちろん食の好みはいろいろだし、持ってきたものを食べろと強制する権利は私にはない。でももしその国のイメージだけで食べないとしたら、かなりもったいないことだと思うのだ。
世界中の食べ物で私たちが口にできるのは、ほんのわずか。きっと大多数のものに挑戦することなく一生を終えてしまうのだろう。だから普通の生活をしていたら出会えない食べ物を食する機会があるのなら、迷わず試す。そんな人でいたいと思う。