美しい景色を見たときに人が思うこととは
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美しい景色の色、心に残る配色、そんな素敵な色に出会ったときに、綺麗だなとは思ってもそれ以上のことは望んでいなかった。それが人によって違うと知ったのは学生時代に友人と旅行したときのことだ。絵が上手な彼女は美しいと思うだけでなく、その美しさを再現したい一心でしっかり目に焼き付けているというのだ。「素晴らしいと思った色の組み合わせは、しっかり覚えているよ」と当たり前のように言う彼女に驚いたものだ。自分には絵なんて無理だと決めつけていたので、色を再現したいなんていう大それた野望を抱いたことなんてなかったから。
大人になってから、もっぱら誰かの真似ではあるけれど絵を描くようになって、彼女の言っていたことが少しわかった気がする。あの美しさを再現したいとまでは望まないけれど、それでも気に入った色使いは覚えていたいと思うようになった。私は彼女のように目に焼き付けることはできないけれど、それでも昔より色の見え方が変わった気がする。
美しいものを見たときに、色を覚えていたいと思うのは、きっと一例に過ぎない。同じものを見ていても、見る人の数だけたくさんの見方があるはずだ。夫と同じ景色を見ていても、彼はそこに溶け込んでいる動物たちを見つけ出し、私はそこに空想の何かを出現させる。いろんな見方を知るだけで、きっと見える景色はもっともっと奥行きのあるものになるのだろう。
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