あのコンパクトさが面白い!シンガポールのトイレびしょぬれホテル!

いろいろなところを旅している中で忘れられないホテルがいくつかある。タヒチで泊ったロマンチックな水上コテージ、壁一面に荒々しい落書きが描かれていたタイのゲストハウス…。そんな中でも特に印象に残っているのがシンガポールで泊った小さなホテルだ。
私がシンガポールに行った当時、話題になっていたのはマリーナベイサンズシンガポールだった。巨大な三つのビルとその上に置かれたサーフボードのような印象的なデザイン、宿泊者専用のビルの屋上にあるインフィニティプール、なんて素敵なんだろう。よし、ここに泊まるぞ!
でも値段を見てびっくり。かなりいいお値段だった。どうしよう、奮発してここに泊まってインフィニティプールを楽しむか、それともプールは諦めてビジターで屋上からの景色を楽しむか。
さんざん迷った結果私が選んだのはリーズナブルなホテルを選ぶことだった。インフィニティプールには後ろ髪をひかれるけれど仕方ない。今度またリベンジしよう!
そんなわけで結局私が選んだのは中心部の高級ホテル街ではなく、少し離れたところにあるこじんまりとしたホテルだった。中心部からは少し距離があるけれど地下鉄の駅から近く、立地的には全く問題ない。
フレンドリーなフロントでチェックインして早速部屋へ向かった。コンパクトでシンプルな部屋。寝るだけなら全く問題はない。
と、部屋の中で変なものを見つけた。あれはもしやトイレットペーパー?ティッシュ代わりに部屋に置いてあるんだろうか?こんなのトイレに置いておけばいいのに。
トイレとシャワーがある部屋を覗いて、トイレットペーパーの謎は解けた。トイレットペーパーを守るには部屋に避難させるしかなかったのだ。

まず、シャワーとトイレのある部屋が異様に狭い。壁に設置されたシャワー、そしてそのすぐ目の前にトイレが設置されていた。狭すぎて水の向きが調整できないため、シャワーを使うと絶対にトイレが水浸しになってしまう。それでトイレットペーパーを部屋に避難させていたのだ。そうでないとトイレットペーパーがいくつあっても足りない。
早速シャワーを使ってみる。無駄だとわかっていたけれど一応トイレの蓋を閉めてスタンバイ。シャワーをひねると水がトイレを直撃した。壁とトイレのわずかな隙間に体を滑り込ませシャワーを浴びる。水を止めてトイレを見ると…やっぱりすべてびしょぬれだった。
ここにはシャワーとトイレの他にコンパクトな洗面所も設置されていた。この洗面所もまた曲者だった。顔を洗うためにかがもうとすると、洗面台の真上に設置された棚が邪魔でうまくかがむことができない。一度かがんでしまうと、今度起き上がるときに百パーセント頭が棚にぶつかってしまうのだ。

そしてベッドに入ってまたびっくり。コンパクトなベッドだとは思っていたが、158センチの私の身長でもギリギリの大きさだった。確かに予約する際に、ベッドが小さいという口コミが多かったけれど、小柄な自分には関係ないと思っていたのだ。
狭いところにいろんなものを詰め込んだホテル。よくテレビで見る、変な形の狭小住宅を思い出した。
このコンパクトホテルでは朝食がついていたが、当然のことながら(?)ダイニングスペースはない。ではどこで食べるかというと…
道。
ホテルの外に置かれたテーブルの上にパンや飲み物が置いてあるので、それを持ってそのへんの地面に座って食べる。
嫌いじゃない。
シャワーを使うたびにトイレがびしょぬれになるなんて、個人的にはマリーナベイサンズシンガポールよりも面白い体験ができたかもしれないと思っている。もちろんいつか泊まって、インフィニティプールのリベンジはしてみたいけれど。