あの超有名企業は意図的に女性を採用していなかった
昔誰もが知る超有名企業の本社で総合職として働いていたことがある。配属されたとき女性はほとんどおらず、ザ・男社会の縮図といった感じだった。当時は総合職を志望する女性は少ないのかな、くらいにしか考えていなかった。
何年か経ち、総合職の採用に携わる機会があった。そこでの人事の発言がいまだに忘れられない。
女性はいらないので、女性は落としてください。
女性の方が優秀で点数が高いと思いますが、男女比●:●になるように点数が低い男性を合格させてください。
そしてその言葉通り、優秀な女性をどんどん落とし、なんでこんなレベルをと思われる男性を合格させていった。総合職の女性の数が少なかったのは、志望する女性の数が少なかったのではない。会社が意図的に作り出したものだったのだ。
この超有名な大企業は一般の人から目に付くところに比較的多くの一般職の女性を配置しているため、対外的には女性の比率が高い会社だと思われているようだ。しかし実際の女性の数は全体の割合からいうと、ごくわずかだ。
その後もこの会社は女性推進とか女性が輝ける職場などのキラキラした言葉を並べて、対外的にそして社内でも積極的な活動をしているように見せかけていた。女性の意見交換会が定期的に開かれ、社内報には笑顔の女性の写真がたくさん掲載された。けれど女性管理職の割合は低いままだ。そんな偽善を目にするたびに私は嘘つきと思わずにはいられなかった。
私が辞めてからもう何年もたつけれど、きっとあの会社は何も変わっていないのだろう。そして日本を代表する大企業が進めている偽りの女性活躍が示すように、あれが日本の社会の現実なのだ。ジェンダーギャップ指数が世界的に見て低いのも納得だ。