オカンとタブレットとパスワード
私の70代の両親は比較的スマホを使いこなしている方だと思う。ZOOMを使って講演会に参加したり、テレビ電話で離れて暮らす私との会話を楽しんだり、大好きな歌手の動画を見たりと楽しんで使っているようだ。ワクチン接種も自分でネットで予約していた。
こんな感じなので、あまり両親のデジタルなことに関してはあまり心配していないのだが、予想もしないところで珍行動を繰り広げるので驚かされる。
例えばスマホのケース。父は手帳タイプのケースを使っているのだが、ある事情でケースをはずさなくてはいけなくなった。なぜかケースを外すのを渋る父。説得の結果、なんとかケースを外すことに納得してくれたが、なんと次の瞬間、予想もしない行動に出た。なんとスマホケースを壊そうとしたのだ。どうやら父はスマホ背面のプラスチックカバーもスマホの一部だと思い込んでおり、プラスチックカバーに接着されている合皮カバーをビリビリとはがそうとしていたのだ。これで渋っていた理由がわかった。カバーを壊さないと外せないと思い込んでいたため、スマホカバーを外したがらなかったのだ。
他にも珍行動はある。タブレットを使っているか聞くと、なんだか歯切れの悪い回答が返って来た。これは何かあると思い詳しく聞いてみると、なんと母が「タブレットは今ちょっとだめなのよ」と言い出した。だめってどういうこと?タブレットが壊れたのだろうか?さらに聞くと、母が初期パスワードを設定したが忘れてしまい、使えなくなっているとのこと。母は自分がやらかしてしまったものだから、タブレットを隠蔽、なかったことにしていたらしいのだ。使えない、ただの板に料金を払っていたとは情けない。
心当たりの数字はないのか聞いても、わかんないとやる気のない返事。ああでもない、こうでもないとしばらく試行錯誤をしていると、突然
「タブレットのケースにパスワードを書いた紙を挟んでた!」
タブレットと一緒に保管するならパスワードの意味はないのではと思ったが、無事に一件落着。めでたしめでたし。
本当に親の行動にはいつも驚かされる。きっと私が知っていることなんて氷山の一角で、もっともっと「おもしろいこと」をやっているのだろう。離れて暮らす私にはそんな一つ一つが愛おしい。