会話が弾まず困ったときに試したいこととは?
私は話がうまいわけではない。それでも初対面の人となんとか無難に話はできるのではないかと思う。そんな私だがやはり苦手な人はいる。そのような相手とは、どんなに頑張って話しかけても沈黙が続いてしまったり、そもそも何を話せばいいのか全くわからなくなってしまう。頭の中は真っ白で全く何も思い浮かばない。こんなときに限って逃げ場がなく、お互いに気まずい時間を過ごすはめになるのだ。以前通っていたネイルサロンのネイリストがまさにそうだった。
私の通っていたネイルサロンでは、ネイリストと顧客が向かい合って座る。ネイルが崩れる可能性があるので雑誌を見ることはできず、基本的にはネイリストと話すか、ぼーっとして2時間過ごすことになる。担当してくれるのが話好きなネイリストなら何も考えず、あっという間に2時間経つので全く問題ない。だが口下手な人が担当の場合、話が全く続かず、拷問の2時間を過ごすことになる。この時間があまりにもきつかったので、どうして会話が続かないのか、どうすれば楽しく過ごすことができるのか考えてみることにした。
「今日はお休みなんですか?」「会社はこの近くなんですか?」施術が始まってすぐに定番の質問があった。私が答えると、それで会話は終了。沈黙が続いた。他のネイリストとはここから話が発展するのに、どうして彼女とは会話が続かないのか。考えてみるといくつか理由が思い当たった。
まず話がうまい人は、関連する質問をいくつかすることで、相手が話しやすい話題を探っているように思う。休日→休日の過ごし方→趣味について、会社の場所→詳しいエリア→話題のスポット、という風に。
一方話が続かない人は、一問一答。それぞれの質問には関連性が全くなく、さらに質問は「はい」か「いいえ」で答えられるものばかり。これでは話が発展しにくい。さらに彼女からは、つまらなそうなオーラが溢れていた。私に興味なんて全くないけれど、話さないといけないので仕方なく話していますけど、なにか?といった雰囲気だったのだ。これではこちらも話す気が失せてしまうのも当然だ。
こんな相手と楽しく話すことはできるのだろうか?私が話をしたとしても、彼女の心ここにあらずな相槌の前では心が折れてしまいそうだ。だからと言って、彼女が食い付くような話ができるとは思えない。どうしたものか。
と、ここで気付いた。彼女に話をさせればいいのだ。彼女が話したいことを話すことができたら彼女も楽しいし、この場の雰囲気もよくなるに違いない。でも、どうすれば彼女は話してくれるのだろう。
今、会話が盛り上がっていないのは、興味のない話をしなければいけない、聞かなければいけないから。頑張って話しても聞き手が上の空だから。それなら話し手が話したいもので、その中でもお互いに興味があるテーマを選び、聞き手が興味津々な態度で接すれば、話は盛り上がるはず。
では、話し手が喜んで話すことは何か?それは仕事や趣味、自分自身についてなど、自分が詳しく知っていること。その中でお互いに興味があるテーマと言えば…ネイルだ!
というわけで、彼女にネイルに関する質問をしてみた。きれいにマニキュアを塗る方法は?ネイリスト養成スクールではどんなことを学ぶのか?ネイリストの資格試験はどんな感じなのか?すると驚いたことに、今まで幽体離脱していたとしか思えなかった彼女がイキイキと話をし始めたのだ。私も知らない世界のことを知ることができ、楽しく2時間過ごすことができた。
この経験から、会話が弾まず困った場合には質問をするべしという教訓を得た。そして、もう1つ。質問をするためには、相手に興味を持つ必要があるということ。相手に興味が持てないと、質問のためのくだらない質問をすることになり、会話は弾まない。
結局会話は、人と人とのキャッチボールなのだ。