一羽だけ行動の違うカラスは生き延びるのか?
私のお気に入りのジョギングコースは畑の中。まっすぐ続く細い道の両側には大きな畑が広がっている。ここを走っていると、なんだか貸し切りのコースを走っているようでワクワクするのだ。
先日も畑の中を走っていると両側の畑に、たくさんのカラスがいるのが見えた。どうやら畑に落ちている何かを食べているようだ。それにしても多い。畑が黒く見えて少し怖いくらいだ。
あの数に襲われたら、ひとたまりもないなぁ、など思いながら走り続けていると、私の姿に気付いたカラスが、一羽、そしてまた一羽と飛び立っていった。そんなカラスが去った畑の中で悠々と餌を食べ続けていたカラスが一羽。接近する私には目もくれず、一心不乱に食べ続けていた。そんなマイペースなカラスの傍を走り抜けると、他のカラスたちはまた畑に戻って来た。
私はカラスに危害を加える気はなかったのだから、今回一番得をしたのはマイペースなカラスだ。逃げる労力もなく、ずっと食事を続けることができた。
でも、もし私がカラスに危害を加えようとしていたなら、真っ先にターゲットになっていたのはあのマイペースなカラスだっただろう。そう考えると、逃げるという選択をした大多数のカラスは正しかったことになる。
しかし、もしカラスが飛び立った先にワナが仕掛けられていたとしたら、大多数は捕獲され、逃げなかったカラスだけが生き残る。それならば全員が同じ行動をとるよりも、少し違う行動をとる個体がいたほうが、生き残る確率があがるのではないだろうか。
私たち人間も集まると、それが意識的なものか無意識のものなのかはわからないけれど、 想定外の行動をとる人が一定数いる気がする。もしかしたら、それは一人の人間の考えが及ばないような大きな力によってプログラムされた、生き残るための法則なのかもしれない。