持たない方が人生うまくいく?金嶽 宗信の「【禅的】持たない生き方」を読んでみた!
最近、自分はモノを持ちすぎているのではないかと思うようになった。私の家に夫が転がり込んできたという事情はあるにせよ、家の中のモノの90パーセント以上は私のモノ(もちろん、その中には二人共用のものも含まれるけれど)。都会から田舎に移住すると、ほとんどの服は出番がなくなった。
人生がときめく片づけの魔法 改訂版 [ 近藤 麻理恵 ]やフランス人は10着しか服を持たない パリで学んだ“暮らしの質”を高める秘訣/ジェニファー・L・スコット/著 神崎朗子/訳などたくさんの本を読んでモノに対する意識を高めていたつもりだったけれど、それでもまだ多い、もっとすっきりしたいなと思うようになった。そんなときに出会ったのが、金嶽 宗信[禅的]持たない生き方だ。
たくさんのものに囲まれているよりも、
何も持たないほうが、人生うまくいくのです。
いらないものは、いさぎよく「捨てる」。
そもそも、はじめから「持たない」。
「後ろ向きな感情」も、「よけいな人間関係」も。
所有とは執着
現代の私たちは、たくさんのモノに囲まれている。それにも関わらず、毎日モノの宣伝を目にしない日はない。そんな中にいると、ついモノが欲しいという思いにとらわれてしまう。
モノを持ちたいということ自体が執着だ。モノに対して執着が生まれると、「これがないと幸せになれない」「自分だけ持っていないのは恥ずかしい」など、心を乱す原因が増えてしまう。それなら、はじめからモノがなければ心は乱れないというわけだ。
そして、一度モノを持ってしまうと、所有することで生まれる執着までついてくる。「盗まれないように管理しなくては」「汚れたらどうしよう」「最新のモデルがほしい」など、持っているものに対して次々と執着が生まれてしまうのだ。
さらにモノが増えるとさらに執着が生まれ、心を乱すものがどんどん増えていく。それならモノがない方がいい。実際、生きていく上で本当に必要なものは、それほど多くはないのだから。
どうすればモノを減らせるのか:モノがあるのを当たり前と思わない
モノを減らすための第一歩は、モノがあるのを当たり前だと思わないこと。私たちは既にたくさんのモノを持っている。あって当たり前だと思っているモノを一度見直してみよう。
どうすればモノを減らせるのか:他の手段を考える
本当にそれが必要なのか、他のモノで代用できないか考えてみる。余程専門的なものでない限り、なんとかなるものだ。使用頻度が低いなら、レンタルという手もあるかもしれない。どうやって減らしていこうか、どうやって代用しようか考える過程も楽しんでいこう。
どうすればモノを減らせるのか:「今」必要か考える
今必要なものなのか考える。「最近は使っていないけれど、今まで使ってきて便利だったから」「今の家ではいらないけれど、引っ越したら必要になるかもしれないし」私たちはこんな風に考えて、「今」いらないものも置いておきがちだ。それは過去への執着(高いお金を払って買ったんだから)や、未来への不安(今後なくて困るかもしれない)で、「今」に向き合えていない状態といえる。
家にモノを持ち込むのは、とても簡単だ。しかし手放すのは、その何倍も労力を要することだ。だからこそ「それは、今の自分に本当に必要なのか」問い直すことが大切になる。
ヨガの教えて通じることとは?
この本を読んで、すぐに思い出したのはヨガの教えであるサントーシャ(足るを知る)。私たちは幸せを外に見つけようとしがちだ。けれど、今あるものに目を向ければ、既に満たされていることに気付くことができる。
そしてアパリグラハ(非所有)。もっと○○だったら幸せになれるのにというのは執着。そしてそんな執着を作り出しているのは、他でもない自分自身だ。所有することで満たされていると錯覚し、もっともっとと貪ってしまう。しかし満たされていれば、所有しなくても幸せなのだ。
私たちの幸せは所有しているモノの多さでは測れない。モノをたくさん抱え込まなくても、自分自身の内側が満たされていれば、十分幸せなのだ。
所有とはなんだろう?
この本で印象に残った中で、公園も自分の庭だと思う、というのがある。地球全体が自分の庭だという感覚で生きていると、自分の庭が必要なくなるというのだ。仮に自分の庭があったとしても、公園に行けば、もっと広い庭がある。
地球全体の中で生きていると思えれば、わざわざ所有しなくても、地球みんなの所有物として見ることができる。こうやって考えると、お店にあるモノもわざわざ買わなくても満足できるのかもしれない。それでは私たちは何故所有したいのだろう?所有とはなんだろう?私たちは何故モノを持とうとするのだろう?
最後に
幼少期、私の周りにいたお坊さんたちは、ベンツを乗り回し、たっぷり食べて恰幅のいい人ばかりだったので、現代の日本で厳しい修行をした著者の具体的な生活を知ることができたのは非常に興味深かった。
全部は無理だけれど、瞑想やモノのないシンプルな暮らしなど、真似していきたい。きっと「持たない生き方」を選択することで見えてくるものがあるはずだ。もし、今の生活に違和感がある、何かがおかしいと感じているなら、本書を読んで自分の生活を見直してみるといいかもしれない。