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自分のルーツを辿る旅!2023年六甲全山縦走大会に参加してみた!体験記編

 
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のぶのぶ
世界30数か国を旅してきた旅行好き。華奢でおとなしそうな見た目とは裏腹にリュックサック一つでぷらりと出かける行動派。東京のど真ん中から愛媛に移住。トライアスロンに挑戦したり自然を満喫しています。

六甲全山縦走大会とは?

関西を代表するロングトレイルのひとつ、六甲全山縦走路。六甲全山縦走大会は、兵庫県神戸市須磨浦公園から宝塚までの全長56キロ(43キロという資料もあり)を1日で歩く大会だ。様々な団体が主催しているけれど、神戸市主催の大会は毎年11月に行われる。

フルマラソンと同じくらいの距離を歩くなら問題なし、と一瞬思ったけれど、よくよく調べてみると累積標高はなんと富士山と同じくらい。めちゃくちゃアップダウンが激しい過酷な(?)大会なのだ。

この大会は時間を競うものではない。自分の力で、自分の責任で、楽しく、そして厳しく歩く、スポーツの祭典だ。

参加しようと思ったきっかけは?

両親が兵庫出身で、私自身、幼少期神戸で暮らしていたこともあり(記憶はほとんどないけれど)、六甲山は身近な存在だった。テレビの登山番組でたまたまやっていた六甲山縦走を見ていたら、懐かしい地名のオンパレード。無性にご縁を感じ、六甲山縦走をやってみたい!と思ったのがきっかけだ。

普通に一人で歩こうと思っていたら、なんと六甲全山縦走大会なるものがあるとのこと。完走すると完走証と豪華な(?)盾までもらえるではないか。おまけに締め切りが迫っていることを知り、急いで申し込んだ。

このことを父に伝えると、なんと祖父、父も六甲全山縦走大会で完走経験があるとのこと。やはり血は争えない。しかも祖父は何回も完走しており、なんと最後は70代後半で完走しているらしい。恐るべし。

宿泊先の手配

六甲全山縦走大会へのエントリーを済ませたら、次に必要なのが宿泊先の手配。ただし締め切り直前でのエントリーだったこともあり、スタート地点の須磨浦公園周辺のホテルはすべて満室。スタート時間の5時に間に合う公共の交通機関はないため、須磨浦公園から離れたホテルに泊まると必然的にタクシーで向かう必要がある。

どうしたものかと悩んでいると、大会のウェブサイトに六甲全山縦走大会用のホテルを発見。宿泊地は三宮で須磨浦公園から少し離れているものの、バスでスタート地点まで送迎してくれるとのこと。これなら大会開始の5時からスタートできるし、迷子にもならないし一安心(お値段は足元を見た、いいお値段だったけど)。さっそく申し込むことにした。

六甲全山縦走大会前日

大会前日にトラブル発生。夜、荷物の最終確認をしたところ、なんとヘッドライトがつかないのだ。自宅を出発したときに電池を入れ替えたばかりなのに何故?使ってもいないのに一日で電池がなくなるはずないのに。

もしやヘッドライトの故障?ホテルの近くにアウトドア専門店はあるか調べ、その前に念のため電池を入れ替えたところ…ライトがついた。単に電池が切れていただけで、一安心。どうやら移動中に誤ってライトをつけてしまっていたらしい。

まだまだトラブル(?)は続いた。トレッキングポールをバックパックにうまく装着できないのだ。六甲全山縦走大会の体験記で、「塩尾寺からの最後の急な下り坂はトレッキングポール必須」というのを読み、持参したトレッキングポール。持っては来たものの、この時点では最後に使えばいいかという認識でいた。

そんなわけでバックパックに装着したけれど、なんだか心もとない。やり方は合っているはずなのに、ホールド感に欠けているような…。

そしてラストは、ゼッケンがうまくバックパックにつけられないというもの。不器用な私はマラソンのゼッケンをつけるのも大嫌い。今回は一人での参加だったため、器用な夫もいない。

六甲全山縦走大会のゼッケンは丈夫でなかったので、装着に失敗するたびにビリビリ無残な状態になっていく(大会当日にも、どんどんビリビリしてしまった。かろうじてバックパックに引っ付いてくれてはいたけれど)。

六甲全山縦走大会当日 スタート前

送迎バスのおかげでスタートの30分前には、スタート地点に立つことができた。タクシーで来た人も多いようで、タクシー渋滞が起きていた。先着順に列になって並んでいく。ものすごい人。30分前の到着でも、私の前には数百メートルの列ができていた。

スタート地点すぐ横に簡易トイレ。列の近くの人と仲良くなったので場所をキープしてもらい、トイレへ。マラソン大会のようにトイレに大行列ができていたらどうしようかと思っていたら、拍子抜けするくらいガラガラで驚いた。

スタートまでの間に朝食を食べたり、ヘッドライトをセットしたり。思っていたよりも気温が高かったので、上着をリュックにしまったり。

装備は登山リュックなどの重装備な人、普通のナップザックの人、トレイルランニング用の小さなリュックの人とわかれていた。

私はトレッキングポールは最後の急な下りで使えばいいやと思っていたのでリュックに装着していたけれど、最初からポールを使用している人もいた。

そんなこんなで、あっという間に時間は過ぎ、5時。いよいよ六甲全山縦走大会のスタートだ!

六甲全山縦走大会 スタート

最初はひたすら石段が続く。人が一斉に進むのでやや渋滞ぎみだ。

スタートしてすぐにアクシデント発生。あまりにも道が混みすぎていて、リュックに装着したポールが通路沿いの木に引っかかってバランスを崩しそうになったのだ。これは怪我しそうだということで、道が開けたところでリュックからポールを外して、予定外だったけれど最初から使うことにした。これが正解。慣れるまではポールは微妙だと思っていたけれど、ポールがあったから完走できたのではないかと言っても過言ではないくらい役に立ったのだ。アクシデント様さまだ。

眼下に広がる夜景がきれいで、テンションが上がった。

六甲全山縦走大会 高倉台~栂尾山~横尾山あたり

渋滞に巻き込まれたくなくて、スタートダッシュを目指していたのに、ポールのアクシデントで一気に出遅れると、あちこちで渋滞が発生していた。ペースがゆっくりになるのは別にいいけれど、急な階段の途中で待機するのは怖いし、後ろの人がグイグイ来るとちょっとプレッシャーだった。

六甲全山縦走大会 妙法寺~高取山

この辺りに今はなき、生家があった。縦走のコース上に思い出の場所があることに、ただただ感動した。

そして高取山が生家のすぐ近くにある山だということを初めて知り、驚いた。記憶にはないけれど、亡き祖父(六甲全山縦走大会を何度も完走した山男だ)と一緒に高取山に登ったという話を両親から聞かされていた。なぜか高取山はどこか遠くにある山だと勝手に思い込んでいたのだけれど、まさか生家からすぐ近くにあったとは。

まだ小さかった私が、愚痴一つ言わず高取山に登ったのを祖父が見て、さすがわが孫と喜んだらしい。彼の意図するような本格的な山ガールにはならなかったけれど、それでも山好きに育ったよ。そんなことを考えながらの高取山は感慨深いものがあった。

六甲全山縦走大会 摩耶山

まだまだ元気で、六甲全山縦走大会を楽しむ余裕があったけれど、摩耶山に登るときに少し腐った。天気がどんよりしていて景色が暗く、気分も落ち込んだ。おまけにボランティアの方が「あともう少しですよ」と声をかけてくれるけれど、これで何人目?というくらい「あともう少し」が続くのだ。これって着く着く詐欺(?)じゃないか(ボランティアの方、ごめんなさい)。

けれど摩耶山でホットレモンをいただいて、一気に復活。甘くて暖かい飲み物で体が癒されたのもあったけど、ホットレモンをいれてくれたおいちゃんの応援が大きかった。空いたペットボトルにホットレモンを補充してくれたのだけど、入れている間、全力で応援してくれたのだ。こっちは道楽で歩いているのに、ホットレモンを入れてくれて、応援してくれて、本当にありがとう!

父からも「楽しめ」と一言ラインが届き、完全復活。楽しむために歩いているのに、腐ってどうする!

六甲全山縦走大会 六甲ガーデンテラス

亡き祖父は私のために郵便局の通帳を作ってくれていた。そして通帳と一緒に残してくれたのが、六甲山郵便局の写真だ。今回の六甲全山縦走大会では、実際の六甲山郵便局を見るのも目的の1つだった。郵便局のすぐ脇を通りながら、しみじみ。私の記憶の中の郵便局と、実物の郵便局は何かが違った。それが年月の経過によるものなのかはわからないけれど、それでも祖父の存在を感じることができた気がした。

近くを歩いていた人と励まし合いながら、六甲ガーデンテラスに到着。リタイアをするかどうかの重要なポイントだ。この時点でまだまだ元気だったので、続行を決意。けれど、きついのはここから先だった。

六甲全山縦走大会 一軒茶屋~

ラストのチェックポイントである一軒茶屋。おばあちゃんの応援に励まされながら、最後の座った休憩をとった。全体的にまだ元気だったけれど、きつかったのが肩。バックパックが重すぎたせいか、肩が痛くなってしまったのだ。ああ、荷物を放棄したい(しないけど)。

ゆっくりと休憩していたら、陽も落ちてきて肌寒くなってきた。肩の痛みと風の冷たさで、少しテンションがさがったけれど、まだこの時点では元気だった。本当につらくなったのは、この先。陽が落ちてからの山道だ。

まずやらかしたのは、ヘッドライト。アウトドアで愛用してきたヘッドライトだが、なんだか暗い。もしやライトがついていないのでは、と確認するも一応点灯している。ただ明るくないのだ。周りの人の眩しいばかりのヘッドライトと比べれば、月とすっぽん、太陽と懐中電灯、ボディビルダーとおじいちゃん、そのくらい差は歴然としていた。

このとき初めて恐怖を感じた。見えない。

周囲のヘッドライトに照らされれば見えるけれど、自分だけでは真っ暗。おまけに道は足場の悪い山道。そして私の苦手な下りが延々と続いた。狭い道が続いたこともあり、後ろに渋滞ができているのを感じた。いろんなことが重なって、ものすごいストレスになり、ペースがどんどん乱れていった。

焦る必要はないと頭ではわかってはいるのに、ペースを上げないとと空回り。プチパニック状態だ。疲れが溜まっていたこともあり、つまずきかけたり、滑ったり、普段ならないようなことが続いてしまった。

そして初めての六甲全山縦走大会ということもあり、こんな状態があとどのくらい続くのかがわからないのもストレスだった。下り切った、山道から解放された!と思った瞬間現れる上り坂。上り坂があるということは、まだ下りがあるということ。上り坂、下り坂を繰り返し、やっと舗装された道に来た!さよなら、山道!そう思ったのも束の間、すぐにやってくる山道。

いつまで続くんだろう。上りと下りを繰り返し、おまけに山の中で景色が見えないので、今自分がどのくらいの標高にいるのかがわからない。あとどのくらい山道が続くのかわからないのが、かなりのストレスだった。山道よ、早く終われ!その一心で歩き続けた。もしかしたらゾーンに入っていたかもしれない。

六甲全山縦走大会 塩尾寺~

そして遂に訪れたアスファルトの下り坂。ずっと、「山道は終わった!」「え、まだ続くの?」というのを繰り返していたせいで、本当にこれが宝塚に向かう舗装道路だとなかなか信じられなかった私。どうやら本当に山道は終わったらしい、と実感できた私にやってきたのは、なんと前ももの痛みだった。周りの人たちがダッシュで駆け下りていく中、おばあちゃんのように慎重に坂を下る私。激痛ではないけれど、筋肉痛のときの不自然な感じ。ロボット歩きになってしまう。

何人の人に抜かれたかわからないほど、たくさんの人に抜かされた。真っ暗な山道で感じたストレスとは比べ物にならないくらい小さなストレスだけど、それでもちょっと置いて行かれたようで寂しくなった。

でも人は人、自分は自分。一歩一歩自分のペースで歩き続けた。

六甲全山縦走大会 宝塚ゴール

念願の宝塚ゴールに到着したのは20時15分くらい。歩きながら到着時間を計算して、19時にはゴールできるはずだった。暗くなってからの山道と、最後のアスファルトのペースダウンが大きかったのだと思う。歩くのには自信があったけれど、最初から最後まで抜かされまくった一日だった。

目標の18時ゴールには遠く及ばなかったけれど、怪我なく完走できたことに感謝しかない。笑顔溢れるボランティアの方から完走証と盾をいただいたときには、涙が出そうなくらい嬉しかった。祖父、父、私、三代の完走証と盾がそろったことに安堵したとともに、果たして私が70代で完走できるだろうかと思った。

自分のルーツや思い出の場所をたどった、六甲全山縦走大会。完走直後は一度完走したら十分と思っていたけれど、こうやって数か月後に書きながら、また参加してもいいかなと思っている自分もいる。

最後になったけれど、六甲全山縦走大会にかかわった全ての方に感謝したい。寒い中笑顔で応援してくれて本当にありがとう!本当に本当にありがとう!

宝塚での宿泊

ゴール後の移動はきついだろうということで、宝塚でホテルを予約していた。冷静な自分は「こんな格好でも問題ないビジネスホテルを予約しよう」と言っていたけれど、自由な自分が「どうせなら完走のご褒美に、素敵なホテルに泊まりたい」と主張。結局「浮いていたっていいじゃないか」という自由な私の勝利で、素敵な宝塚ホテルに泊まることになった。

ホテルは思った以上にラブリー。ロビーには大階段があり、ワンピースを着た乙女がその前で写真を撮っていた。さっきまではバックパック、ヘッドライト、この格好が正装だったのに、ここに来た途端、異端になる。夢の空間に突如現れた山女。おまけに汗臭いし、テイクアウトしたハンバーガーのにおいがプンプンだし、明らかに浮いている。ロビーには1組しか人がいなかったのが救いだ。チェックインを済ませたら超特急で部屋に向かった。

部屋の中も可愛らしくて、一人、部屋の中でテンションがあがる。次回泊まるときにはラブリーな恰好をしてくるから。きっと。


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