わかりやすい説明とは何か?
先日クローゼットにしまっていた服にカビが生えていた。連日の蒸し暑さで湿度がこもってしまっていたのだ。初めてこの家に来たときは風の通りがかなり良くて、これが決め手の1つになった。でも実際に住んでみると、季節によって風向きが変わるようで、蒸し蒸しする季節にはなかなか風が吹き抜けてくれない。特に服を置いている部屋には窓がないので、どうしても湿気がこもってしまう。自己流でいろいろやってはみるものの、焼け石に水。全く埒が明かない。
そんなわけで除湿機の購入を検討しようと、電気屋に行ってみることにした。季節柄なのか除湿機のコーナーには先客がいて、店員さんがちょうど説明しているところだった。耳に入ってきた店員さんの話はわかりやすかったので、除湿機コーナーをぶらぶらしながら、聞かせてもらうことにした。
そうこうするうちに別の店員さんがやって来て説明してくれたのだけど、これが全く頭に入ってこない。一生懸命いろいろ話しているのに「はぁ」というリアクションしかできないのだ。さっきの店員さんの説明はすんなり入ってきたのに、何が違ったのか。
まずわかりやすかった店員さんは、除湿機には大きく分けて3パターンがあり、それぞれのメリットとデメリットを説明していた。その上でお客さんが、いつ、どこで、どんな用途で使いたいかを確認し、それにぴったりな商品とそれぞれの違いを解説してくれたので、非常にわかりやすかった。
それに比べて対応してくれた店員さんの説明は漠然としていた。有名なメーカーとメーカーごとの特色を説明したあと、人気商品はどれかを教えてくれた(でもなぜそれが人気なのかは教えてくれなかったけれど)。そのあとは1つずつ「これなんかどうですか」と見ていく。どうですかと言われても、見た目はみんなほとんど同じ箱だし、違いはわからないし、なんとコメントすればいいのかわからない。
このまま一緒に見ていても意味がないので、先程の店員さんの説明で、なんとなく気になっていた商品について違いを聞いてみることにした。同じメーカーで同じような機能なのに値段がかなり違うのだ!すると「安い方は温風が出ないんじゃないですか?」とのこと(後で調べてみたら、ばっちり温風は出ることがわかった)。
こうやって比べてみると、わかりやすい説明というのは、自分が必要としていることに関して教えてくれることだと言える。どんなにたくさん説明してくれても、必要でないことを延々と聞かされると全く頭に入ってこないのだ。対応してくれた店員さんは、空気清浄機能が充実しているタイプについて、かなり熱心に説明してくれたけれど、私は安くて湿気をごっそりとってくれるシンプルなものを探していたので、聞きながら正直どうでもいいと思っていた。
結局わかりやすい説明というのは、どれだけ相手の立場に立てるかにかかっているのだと思う。相手が何を望んでいるかに耳を傾け、必要な情報を厳選する。もちろん簡単なことではないのだけれど。