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読後に残るざわつき!湊かなえの「落日」を読んでみた!

 
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のぶのぶ
世界30数か国を旅してきた旅行好き。華奢でおとなしそうな見た目とは裏腹にリュックサック一つでぷらりと出かける行動派。東京のど真ん中から愛媛に移住。トライアスロンに挑戦したり自然を満喫しています。

鳴かず飛ばずの脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の脚本の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺し殺した後、家に火をつけて両親も殺害した15年前の事件を手掛けたいというのだ。千尋の生まれ故郷である笹塚町の事件を、香は何故撮りたいのか。千尋と香は過去とどう向き合うのか。“真実”とは何か、“救い”とは何か。

香と千尋が交互に語る形で、話は進んでいく。言葉の間から、それぞれが心に何か辛いものを抱え込んでいるのが感じられ、それがちょっとした緊張感を与えている。虐待、ネグレクト、身近な人の死など思いテーマが散りばめられているため、時間をあけてゆっくり読んでしまうとこの緊張感を保てない、そう思い、一気に読み切った。

読み進めるうちに今までの伏線が回収されていく。このパズルのピースがはまっていくような感覚が心地よかった。そして全てのピースが収まったにもかかわらず、全てを読み終わったとき、正直この気持ちをどのように表現していいのかわからなかった。面白かったとか、つまらなかったとか、そんな簡単な一言で片づけられない何か。いろいろなことを感じたけれど、それをうまく言葉にできない感じ。なぜか心の中に残るざわざわ、モヤモヤした何か。この感覚は人によって好き嫌いが別れるところなのかもしれない。

1つ言えるのは、千尋と香が過去と向かい合ったことによって、今までの人生で自分を苦しめてきたものに対して、何かしらの区切りをつけることができたのではないだろうか、ということだ。この後二人がどうなったかはわからないけれど、それでもラストに小さな光が見えることで救われた気がする。


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