新疆ウイグル自治区で何が行われているのか?私たちが絶対に読むべき本「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」
絶対に読んでほしい本「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」
中国の新疆ウイグル自治区における人権問題のニュースを見聞きしたことはないだろうか。今回紹介する本「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」は、新疆ウイグル自治区の少数民族を対象とした強制収容所での体験記だ。
この本は今年読んだ本の中で一番の衝撃を与えた本といっても過言ではない。 あまりにショックな内容で、途中で読むのをやめることができなかった。 現代においてこんなひどいことが大国によって行われていることが信じられないし、また詳細を知らずにいた自分が恥ずかしかった。この本を一人でも多くの人に読んでほしい、そんな思いで今回紹介したいと思う。
ウイグル自治区に生きる少数民族への弾圧
「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」 で語られるのは、中国のウイグル自治区に生きる少数民族への想像を絶する弾圧だ。カザフ語を禁じられ、自分たちの伝統も文化も宗教も奪われて、中国共産党への忠誠を誓わされる。幼稚園で中国語ではなくカザフ語を話した子どもが、カザフ語を話さないよう口をテープでふさがれるというエピソードが印象的だった。
ウイグルに後から乗り込んできた中国人が、自然を破壊し、搾取を開始する。逃げられないようにパスポートは取り上げられ、すべての行動は監視される。そして中国人にとって気に入らない事実があれば、ちょっとした口実のもとに強制収容所にいれられてしまうのだ。
ウイグルの強制収容所とは?
中国はウイグルにあるのは強制収容所ではなく職業技能教育訓練センターだと主張している。ここで少数民族に対して再教育を行っているというのだ。しかし実態は強制収容所としか言いようがない。
人々は狭い空間に詰め込まれ、トイレもバケツのみというありさまだ。おまけにバケツもいっぱいになったからといって、すぐに空にすることはできないという劣悪な環境。このような衛生的とは程遠い空間で行われているのは主に中国共産党に対する洗脳教育だ。
慣れない中国語で共産党を称える唱和を行い、そして自らの過去の行動を批判し(批判されるようなことがないにもかかわらず)私は犯罪者だと唱え続けなければならない。
収容者の行動はシャワー中も含め、全て監視されている。そしてイスラム教徒であることを「反省」させるために無理やり豚肉を食べさせられるのだ。そして何か中国共産党にとって気に喰わないことがあれば、拷問が日常的に行われる。他の収容者たちの前であえてレイプを行い、抗議した収容者は共産党に同調していないとみなされ処罰された。
そして強制収容所で行われる謎の予防接種と薬。この薬を接種してから女性の生理が来なくなったり、生ける屍になったりした人もいた。この施設内でウイグル族を絶滅させるのが目的だったのだ。
「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」を読んで
ニュース等で中国によるウイグル自治区での人権侵害について知ってはいたが、正直ここまでひどいとは思っていなかった。でもこの本を読み、強制収容所の具体的な内容を知るにつれ、吐き気が止まらなかった。
ナチスが行ったユダヤ人虐殺について歴史で学ぶけれど、中国が現在行っていることは、もしかしたらそれよりもひどいのかもしれない。これだけ情報が地球規模で飛び交う世の中なのに、なぜ私たちは目を背けているのか。無関心でいた私も中国と共犯なのかもしれない。
強制収容所に入れられた人々が奴隷労働者として酷使され、そこから恩恵を得ている世界的に有名な企業が存在する。私も知らないうちに、そこから利益を得ているのかもしれない。
また亡命先まで著者のことを付け回し続ける中国の圧力が恐ろしい。強制収容所の実態を語る彼女から真実が漏れないよう、通訳者に圧力をかけ、情報を隠すように脅迫していた。また著者の弁護士に手を引かせるため、弁護士の犬や猫を殺し、玄関先に置くと言うことも行われた。
2017年に行われた第19回中国共産党全国代表大会における発言が紹介されていたが、それが非常に印象的だった。2049年までに世界の教育システムは中国が決定する。全世界が中国共産党に服従し、党が認めた内容の、中国語で書かれた教科書を使って学ぶ、というものだ。香港における言論の自由のはく奪は、決して他人事とは言えない。そしてウイグルの強制収容所もまた、他人事ではないのだ。