持ち物100個なら何を選ぶ?藤岡みなみの「ふやすミニマリスト」を読んでみた!
私たちは本当にものが必要なのか?
ここ何年間か、持ち物を減らすことにすごく興味を持っている私。今も決してゴミ屋敷のようなところに住んでいるわけではないけれど、それでもものが多いなと思ってしまう。
以前1日瞑想し続けるのはどんな感じ?MBSR(マインドフルネスストレス低減法)で1日瞑想を続けて私に起こった変化とは?でも書いたけれど、視覚によってもたらされる情報が多ければ多いほど、ストレスは増える。ものが少なければ視界に入るものも減って、すっきりした気持ちで暮らせるはずだ。
それにものが多くなればなるほど、1つ1つのものに対して目を配ることができなくなってしまう。ものが少なければ1つ1つのメンテナンスを丁寧にできるけれど、量が多くなればすべてに同じ時間を割くのは物理的にも不可能だ。ものをベストなコンディションで使いたければ、量を減らすしかない。
おまけに家の中を見渡しても、なくても困らないものはかなりある。そう、生きていくのに必要なものはそんなに多くない。それでも過去への執着、未来への不安から、手放すのをつい、ためらってしまう。
ふやすミニマリストとは?
そんな自分の背中を押してもらおうと、定期的にものを手放すことについての本を読んでいる。最近は限りなくシンプルに、豊かに暮らす (PHP文庫) [ 枡野 俊明 ]、人生が豊かになる禅、シンプル片づけ術/枡野俊明【著】、より少ない生き方 ものを手放して豊かになる [ ジョシュア・ベッカー ]などちょっとストイック系なものばかり読んでいたけれど、今回紹介するふやすミニマリスト 1日1つだけモノを増やす生活を100日間してわかった100のこと [ 藤岡 みなみ ]はちょっと雰囲気の違う一冊だ。
どちらかというとマキシマリスト寄りの筆者が100日間、所持品ほぼ0からはじめて、1日1つアイテム増やしていく生活を綴ったもの。何を毎日増やしていったのか、この生活をどのように感じていたのかが書かれているけれど、これが本当におもしろい。
私の予想では100アイテムしか選べないのだから、生きていくうえで欠かせないものだけを選んでいくに違いないと思ったのだけど、意外や意外、なぜそれを選んだ?というアイテムの多いこと。必需品が揃っていないのに、本?本は私も読書好きだからわかるとして、土偶って生きていくうえで必要なのか?というか家に土偶があるってどういうこと?
もちろん生きていくうえで最低限の必要アイテムは最初にくるけれど、それだけでは生活は成り立たないということ。私たちの生活には心を満たすものが必要で、それはきっと他人から見ればはてなマークが飛びまくるようなものだとしても、本人にとっては譲れないポイントなのだ。ものを選ぶということは、単に生き延びるということとは違うということ。きっと、もっと自分の奥深いところと直結しているに違いない。
この本に私が惹かれた一番の理由は、筆者の感性。ふやすミニマリストの生活で感じたことが表情豊かに描かれていて、本を読むことでその感覚を共有できるのが本当に楽しかった。特に気付いたことをまとめた第2部が最高!時間を減らす道具と増やす道具がある。時間の流れ方。ものがないことで感じること。今までの当たり前が覆されて見つかった新しい価値。ものを見直すということは、暮らしを再発見していくことだと改めて思った。
この本はミニマリストを勧めるような、ストイックな本ではない。もし今までにそんなストイックな本でアレルギー反応を起こしてしまったことがあるなら、読んでほしい一冊。自分の持ち物を考え直したくなること間違いなし。自分なら100個、何を選ぶだろう?