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物忘れが激しい夫の父が絶対に忘れないこととは?

 
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のぶのぶ
世界30数か国を旅してきた旅行好き。華奢でおとなしそうな見た目とは裏腹にリュックサック一つでぷらりと出かける行動派。東京のど真ん中から愛媛に移住。トライアスロンに挑戦したり自然を満喫しています。

夫の父は物忘れが激しい。たまに日付や曜日を聞いてみるが、当たったことはまずない。カレンダーでカンニングしたときには月は当たるが、曜日や日付は当てずっぽう。カレンダーを見ないで答えると、月も滅茶苦茶。真夏に12月と答えるなど、今がどんな季節なのかもわかっていないようだ。月日だけでなく、恐らく今が朝なのか、昼なのか、夜なのかも怪しいのだと思う。

そんな父だが、絶対に忘れないことがある。それは自分の誕生日。自分の家族の誕生日や記念日は何一つ覚えていないが、自分の誕生日だけは毎年絶対に忘れない。誕生日に今日は何日か尋ねると「●月●日、今日は私の誕生日」とすらすら答えるのだ。夫の家族は誕生日を盛大に祝ったりする家ではなかったようだが、それでも父にとって自分の誕生日は特別なもののようだ。

今年も父の誕生日に何の日か聞いてみると、自分の誕生日だとすらすら答えが返って来た。「今日は職場の人がお祝いしてくれたんよ」とご機嫌だ。

父の言う「職場」とはデイサービスのことだ。会社が忙しいときにお迎えの車がやってきて、父を会社へ連れて行き、働かせるのだそうだ。

「会社の人がお祝いしてくれたの?よかったね」と言うと、父は嬉しそうだ。ところが私が「どんなことをしてもらったの」と聞くと首をかしげて「何をしてもらったんかのう?」と一気に心細そうな顔になる。母がデイサービスからもらった写真とメッセージを見せると「そうじゃ、これこれ」と一安心。どんなことをしてもらったのかは忘れても、祝ってもらって嬉しかったということは覚えていたようだ。

その後も父は上機嫌で「職場」での誕生日祝いについて話し続けた。「今日は会社の人と海に行ってのう」どうやら昔の記憶と混同しているようだ。昔釣りで訪れた思い出の場所なのだろうか。時間がなかったのですぐに帰ったが、海沿いを歩いたらしい。

最後は家族とカップケーキで誕生日祝い。父のコメントはいつもと同じで「わしは甘いものは好きではないけど、これはそんなに甘くないからいいのう」。想像通りのコメントで思わず笑ってしまった。

「職場(デイサービス)で祝ってもらい、(勘違いだけど)会社の人と海に行き、家族に祝ってもらいと、盛りだくさんの一日で父は嬉しそうだ。翌日にはきっとカップケーキを食べたことも、誕生日の歌を歌ってもらったことも忘れてしまうのだろう。それでも来年のまた同じ日に、何の日か尋ねたときに「●月●日、今日は私の誕生日」と元気に答えてほしい。誕生日は楽しいことがたくさんある日だと思っていてほしい。そして甘いものを食べながら「わしは甘いものは好きではないけど、これはそんなに甘くないからいいのう」と言ってほしいのだ。

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